辨 |
Rubus palmatus には、次のような種内分類群を区別することがある(ex. YList)が、変異は連続的であるとして区別しないこともある(ex.『日本の野生植物』)。
モミジイチゴ(広義) Rubus palmatus(懸鉤子・槭葉苺)
モミジイチゴ(標準) var. coptophyllus
モミジイチゴ(狭義) f. coptophyllus
ヤエノモミジイチゴ f. coronarius 山形県・神奈川県産
トゲナシモミジイチゴ f. inermis 石川県産
ナガバモミジイチゴ var. palmatus 多く西日本に産
ヤクシマキイチゴ var. yakumontanus 屋久島産
なお、中国ではゴショイチゴ R. chingii(R.officinalis; 掌葉覆盆子)のシノニムとして扱う(『植物智』)。 |
キイチゴ属 Rubus(懸鉤子 xuángōuzĭ 屬)の植物については、キイチゴ属を見よ。 |
訓 |
「和名もみぢ苺ハ其葉形ニ由リシ稱呼ナリ」(『牧野日本植物図鑑』)。 |
『大和本草』苺に、「キイチコハ懸鉤子ナルヘシ、性怜悧、老人虛怜ノ人、不レ可レ食」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』14 懸鉤子に、「キイチゴ木本ナリ。又実ノ色黄ナリ。コノ二ツヲカネテ名ク カナイチゴ泉州 ツルキイチゴ木本ナレトモ枝タレテツルノ如キユヱ名ク サガリイチゴ豫州播州 ホゞロイチゴ備後」と。 |
漢名懸鉤子(ケンコウシ,xuángōuzĭ)は「莖ニ刺多クシテ衣服ニカゝル、故ニ懸鉤ト名ク」(『本草綱目啓蒙』)。槭葉苺(シュクヨウバイ,qìyèméi)は葉の形がカエデ(槭)に似ることから。 |
説 |
北海道・本州(中部以東)・朝鮮に分布。日本では、東日本に分布するモミジイチゴと近畿以西に分布するナガバモミジイチゴとが、東西に住み分ける。
実は黄色く熟し、食用になる。 |
誌 |
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